「医療用セシウム針」が一般廃棄物として排出された事件(大分県竹田市)

「放射性物質を含んだ医療用セシウム針」を処分する場合は、「廃棄物処理法」ではなく、「放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号)」の規制を受けます。

※1 「放射性同位元素等の規制に関する法律」のままだと呼称しにくいので、以降は略称である「RI法」と呼称します。

※2 余談ですが、ちょうど現在、山崎豊子さんの「白い巨塔」の朗読を聞き始めたところなので、小説の舞台と同じ時代に制定された法律と知り、同作で描かれた社会状況がよりリアルに浮かび上がってきました。

当ブログは廃棄物処理実務について考察・解説するサイトですので、通常であれば、RI法の対象となる廃棄物について取り上げることはしないのですが、それが一般廃棄物処理施設に混入し、スクラップ業者に入ったところで放射線量が検出されたという事件報道があったため、そうした事件が起きた経緯や再発する可能性について考察したいと思います。

2026年2月3日付 読売新聞 「放射性物質含む「医療用セシウム針」が一般ごみに混入、アルミ缶に入れられ回収か…市が告発

大分県竹田市は2日、市清掃センターに収集された一般廃棄物に放射性物質を含む「医療用セシウム針」とみられるものが混入していたと発表した。長時間触れなければ人体に影響はなく、被害の報告は入っていないという。市は同日午前、放射性同位元素などの規制法違反の疑いで大分県警竹田署に告発状を提出した。

RI法については知識がまったくありませんので、以下、生成AIを活用して得られた回答をまとめていきます。

「医療用セシウム針」ってどんな物?

医療用セシウム針は、主にがんの近接照射(ブラキセラピー)に用いられた密封放射線源です。
細い金属製の針(あるいはチューブ)内部に**放射性同位元素(多くは Cs-137)**を封入し、腫瘍組織に直接挿入して局所に高線量を与えます。


1️⃣ どんな治療に使われた?

  • 子宮頸がん、口腔がん、皮膚がん など
  • 腫瘍内/腫瘍近傍へ針を一時的に留置して照射

体外から照射する外部照射と異なり、病変部にピンポイントで線量集中できるのが利点。


2️⃣ 構造

  • 外筒:ステンレス等の金属
  • 内部:Cs-137の密封線源(セラミック化・カプセル封入)
  • 形状:直径数mm、長さ数cm程度

密封線源のため、通常使用で放射性物質が漏れることはありません。


3️⃣ なぜ「針」なのか?

昔の近接照射は、**組織に刺入する“インプラント法”**が主流でした。
現在はアフターローディング法(遠隔操作で線源を出し入れ)が一般化し、
固定針の常置型はほぼ用いられていません。


4️⃣ 現在は使われている?

  • 日本ではほぼ廃止・回収済み
  • 代替:Ir-192 などを用いた遠隔操作式装置

古い医療機関・倉庫から発見されることがあるため、
紛失・混入事故の対象になり得る代表的線源です。


5️⃣ 法的性格

医療用セシウム針は

  • 放射性同位元素
  • 密封線源
  • 一定強度以上は許可制

に該当します。

適用法令:
放射性同位元素等の規制に関する法律
所管:原子力規制委員会

👉 廃棄物処理法の枠組みでは処理不可。

なるほど。現在ではほぼ使用されることが無い医療器具であることがわかりました。

そうなると、「元々それを使っていた医療機関はかなり古い時代に廃業した」と考えざるを得ませんが、「医療機関が廃業した場合、RI法に基づく届出は不要なのか?」という疑問が湧きました。

そこで「医療機関は、廃業時にRI法に基づく届出をしなくても良かったの?」と質問すると、

RI法に基づく廃止(廃業)手続き

RI法(※いわゆる放射線障害防止法)で届出・許可を受けていた医院は、廃業時にも手続義務があります。
「何もせずに廃業」は原則不可です。

適用法令:
放射性同位元素等の規制に関する法律
所管:原子力規制委員会


1️⃣ 廃業時に必要となる主な手続

① 廃止(使用終了)の届出

  • 使用者は、使用を廃止したときは遅滞なく届出が必要。
  • 許可使用者・届出使用者いずれも対象。

② 放射性同位元素の処分

  • 製造業者への返却
  • 又は許可廃棄業者へ引渡し
  • 一般廃棄物・産廃としての処理は不可

③ 施設の措置

  • 管理区域の解除
  • 汚染の有無確認
  • 必要に応じ除染

④ 記録の保存

  • 帳簿の一定期間保存義務

ひょっとすると、30年以上昔であれば、それらの規定が整備されていなかった可能性があるかもしれないと思い、そのことについて質問を入力すると、

当初から、

  • 使用の許可制
  • 使用廃止時の届出
  • 線源の譲渡・廃棄規制

は存在していました。

とのことですので、制度上の不備があったわけでもなさそうです。

しかし、そうなると、なぜ急に「医療用セシウム針」が出現したのか?という疑問に戻ることになりますので、「なんで急に出てきた?」と質問を投げかけてみました。

生成AIが考えた発生シナリオ

① 廃業医院の未返却線源

最も可能性が高い。

  • 昭和〜平成初期に使用
  • 廃業時に返却手続未実施
  • 倉庫保管
  • 相続人が中身を理解せず廃棄

👉 全国的に実在する典型パターン。


② 医療法人解散後の管理空白

法人が解散

理事長死亡

建物解体

内部備品整理時に「金属片」として廃棄

このケースも過去に複数存在。


③ 意図的隠匿・不法投棄

可能性は低いがゼロではない。

アルミ缶に封入という点は、

  • 放射線遮蔽目的ではなく
  • 「目立たせないため」

の可能性もある。

ただし通常は鉛容器で保管されるため、
アルミ缶は本来の保管容器ではない。


④ 管理台帳との齟齬

旧制度下で:

  • 紙台帳管理
  • 行政記録保存期限経過
  • 返却済みと誤認

という可能性。


178MBqという値の意味

半減期30年のCs-137。

仮に1980年代の線源なら:

現在でも十分残存するレベル。

👉 古い医療機関由来の可能性が高い。

私個人としては、「1」「2」のいずれかと「4」が複合的に組み合わさって起きた気がしています。

いずれにせよ、RI法に基づく届出情報がある以上、セシウム針の出所はある程度限定されてきます。

ただし、PCB廃棄物でも、関係者の廃業等で誰にも管理責任を問えなくなるというケースがままありますので、今回の事件もそれと同じ結末とならないことを祈るばかりです。

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