非常災害廃棄物改正の施行通知(令和8年9月16日付)の解説

2026年9月16日、非常災害廃棄物対策に関する改正廃棄物処理法、改正施行令及び改正施行規則が施行されました。

同日、環境省から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律等の施行について(通知)」が発出されています。

この通知は、本文だけで12ページあります。

さらに、次の6種類の別紙が、本文とは別の補足資料として公表されました。

  1. 災害廃棄物処理に関する協定ひな形(対事業者・対地方公共団体)
  2. 一般廃棄物処理計画に規定すべき事項
  3. 非常災害廃棄物の委託、再委託及び再々委託に係る委託基準の解釈
  4. 計画改定前に災害が発生した場合の再委託・再々委託の活用方針例
  5. 廃棄物処理法第9条の3の3を適用する際の読替表
  6. 非常災害廃棄物最終処分場の指定申請書等の参考様式

通知のみならず、6種類の別紙を駆使して、できるだけ立体的に法律改正の内容を説明しようという、環境省の並々ならぬ熱意が伝わります。

それだけ法令だけでは整理しきれない実務上の論点が多かったということでしょう。

本稿では、上記の通知及び別紙に書かれた内容について、実務上の重要度に応じて整理していきます。

1.災害支援協定は「締結して終わり」ではない

改正法により、都道府県及び市町村には、非常災害廃棄物適正処理業者との災害支援協定を締結する努力義務が設けられました(廃棄物処理法第5条の6の2第1項、第6条の4第1項)。

地方公共団体相互の協定についても、同様に努力義務が設けられています(同法第5条の6の2第2項、第6条の4第2項)。

「別紙1-1」と「別紙1-2」には、それぞれ「対事業者」、「対地方公共団体」の協定ひな形が示されました。

既に協定を締結している地方公共団体についても、ひな形を参考に内容を点検し、必要に応じて見直すことが求められています。

もっとも、ひな形に沿って協定を作成しただけで、災害時に直ちにそれが機能し始めるわけではありません。

施行通知でも、協定先との定期的な意見交換や訓練の機会を設けることが望ましいとされています。

実務上重要なのは、協定書の有無よりも、発災時の連絡先、要請手続、費用負担及び役割分担が実際に機能する状態になっているかどうかです。

2.別紙2の内容をすべて一般廃棄物処理基本計画に書く必要はない

改正法は、市町村一般廃棄物処理計画の記載事項に、非常災害時に関する事項を追加しました(廃棄物処理法第6条第2項)。

別紙2は、「災害廃棄物処理計画の標準的な構成」として、庁内体制の確立、関係機関との連携、被害想定、仮置場、収集運搬、処理・処分、住民広報など、検討すべき事項を広範囲に列挙しています。

これらの事項を、すべて一般廃棄物処理基本計画の本文に書かなければならないようにも見えますが、そうではありません。

施行通知では、『既に災害廃棄物処理計画を個別に策定している市町村は、その計画をもって、一般廃棄物処理における非常災害時に関する事項を定めたものとして差し支えない』とされています。

その場合、一般廃棄物処理基本計画の次回改定時に、災害廃棄物処理計画を別途策定している旨を明記し、両計画の連動性を確保すれば足ります。

したがって、実務的には、一般廃棄物処理基本計画に細部を無理に詰め込むよりも、

非常災害廃棄物の処理は、別途策定した災害廃棄物処理計画に基づいて実施する

という関係を明示し、詳細は災害廃棄物処理計画で具体化する方法が適切です。

別紙2は、一般廃棄物処理基本計画へ全文を転記するための資料ではなく、災害廃棄物処理計画の策定・点検に用いるチェックリストとして使うべきものと言えます。

3.再々委託を認めても、市町村の統括的責任は変わらない

今回の改正により、市町村から非常災害廃棄物の処理を受託した者による再委託に加え、再受託者から別の事業者への再々委託が可能となりました(廃棄物処理法第6条の2第3項及び第5項)。

ただし、非常災害時であれば自由に再委託や再々委託ができるわけではありません。

一般廃棄物処理計画及び委託基準に従うことが必要です。

15ページに及ぶ別紙3は、市町村から受託者、再受託者、再々受託者へと処理がつながる場合に、委託基準をどのように適用するかを整理したものです。

内容の多くは、従来の委託基準を各段階に当てはめたものですが、実務上は次の点が重要です。

一般廃棄物処理計画に個別事業者名を網羅する必要はない

「一般廃棄物処理計画に従い」という要件は、将来の再受託者及び再々受託者を、あらかじめ計画本文に網羅的に記載することまで求めるものではありません。

協定を締結している団体、その構成員その他災害時に処理を担うことが想定される者について、再委託・再々委託を活用する方針や対象者の範囲を確認できればよいとされています。

個別事業者名を掲載した名簿を別に作成し、その名簿を計画上に位置付ける方法も認められます。

そもそも、災害の発生場所や規模が分からない平時の計画に、将来の再々委託先をすべて記載することは不可能です。

施行通知で示された上記の解釈は、現実的にそうするほかない内容といえます。

実際の処理経路は市町村が把握しなければならない

計画上に個別事業者名を網羅する必要はありませんが、市町村は実際の処理実施者を把握しておく必要があります。

別紙3は、市町村と受託者との一次委託契約書に、再受託者及び再々受託者を記載することが望ましいとしています。

また、処分又は再生の場所及び方法は、再委託・再々委託の場合も市町村が指定します(廃棄物処理法施行令第4条第七号)。

一次委託契約を締結する時点で処理先が確定している必要はありませんが、契約後に指定する場合も、その内容と変更履歴を文書で確認できる状態にしておく必要があります。

解除条項、監督及び区域外通知も再々委託まで及ぶ

一次委託契約には、再委託又は再々委託が委託基準に適合しなくなった場合に、市町村が契約を解除できる条項を設ける必要があります。

市町村は、受託者を通じて、再受託者及び再々受託者に必要な指導・監督を行います。

区域外処理に伴う処理先市町村への通知や、1年以上継続する処分・再生の実施状況の確認も、市町村が行います(廃棄物処理法施行令第4条第九号)。

再々受託者からその先への再々々委託は認められていません。

つまり、処理体制はかなり柔軟になりましたが、非常災害廃棄物の統括的な処理責任については、従来どおり市町村が負います。

別紙4は、一般廃棄物処理計画を改定する前に災害が発生した場合に、再委託・再々委託の活用方針をウェブサイトで公表するための参考例です。

4.一定の施設では生活環境影響調査書を添付せずに設置特例を利用できる

市町村から非常災害廃棄物の処分を受託した者には、一般廃棄物処理施設の設置許可に代えて、都道府県知事への届出により施設を設置できる特例があります(廃棄物処理法第9条の3の3第1項)。

従来、この届出には生活環境影響調査書の添付が必要でした。

今回新設された施行令第5条の6の2は、生活環境の保全上支障が生ずるおそれが少ない施設として、一定の廃プラスチック類、紙くず、繊維くず、ガラスくず等の切断・破砕施設及びコンクリート片等の選別施設を定めました。

施行通知では、その具体例として、廃畳、廃石膏ボード及び廃瓦の処理施設や、コンクリート片と各種廃材の混合物を処理する選別施設を想定しています。

これらの施設については、生活環境影響調査を行わずに、法第9条の3の3の届出を行うことができます。

選別施設については、非常災害に伴って生じたコンクリート片や各種廃材の混合物を選別する施設が広く想定されています。

そのため、選別に供する設備であれば、構造、能力及び処理方式を個別に比較する場面は、実質的にはあまり多くないように思われます。

別紙5は、この特例を適用する際に、法第8条の規定をどのように読み替えるかを条文ごとに整理した表です。

必要とする担当者は限られますが、法第9条の3の3による届出を実際に審査または提出する際には、親切な資料です。

5.非常災害廃棄物最終処分場の指定は5年ごとの更新制

都道府県知事は、一定の基準を満たす一般廃棄物最終処分場又は産業廃棄物最終処分場の設置者を、申請に基づき、非常災害廃棄物最終処分場の設置者として指定できるようになりました(廃棄物処理法第9条の3の4第1項)。

指定期間は5年です(同条第3項、廃棄物処理法施行令第5条の6の4)。

5年とされたのは、指定時に技術上の基準への適合を確認する代わりに、指定を受けた最終処分場について定期検査を免除するためです。

指定の更新期間が定期検査の期間である5年3月を上回らないよう、5年ごとの更新とされました。

一方、指定を受けた設置者は、非常災害時に市町村から処分の委託を求められた場合、正当な理由がない限り拒否できません(同法第9条の3の4第4項)。

指定を受けていない最終処分場でも、従来どおり非常災害廃棄物を受け入れることはできます。

したがって、指定を受ける主な利点は定期検査の免除ですが、5年ごとの更新申請と受入義務を伴います。

最終処分場の設置者にとって、指定を受ける動機がどこまで生じるのかは疑問が残ります。

また、通知は、指定を受けた非常災害廃棄物の種類や確保容量を変更する場合、又は指定解除を希望する場合に、「変更等届出」を提出させるよう都道府県に求めています。

この「変更等届出」は法令に基づく手続きではなく、「実務上はこうした方が望ましい」という観点から、通知によって示された運用です。

別紙6には、指定申請書、指定通知書、更新申請書及び変更等届出書の参考様式が収録されています。

6.専門支援機関としてJESCO等を活用

改正法は、国が行う非常災害廃棄物対策に関する事務を、専門的知見を有する機関へ委託できることを定めました(廃棄物処理法第23条の2の2)。

これに伴い、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法も改正され、JESCOが専門支援機関として地方公共団体を支援できるようになりました。

通知は、平時の計画・協定への技術的助言、研修・訓練、デジタル支援ツールの整備、発災時の職員派遣、処理方針の検討、発注・契約・施工管理などを支援内容として想定しています。

7.「その他」に置かれた欠格事由関係の改正

通知の最後には、廃棄物処理業者等、その法定代理人、役員又は使用人が、「心身の故障に関する欠格事由に『該当するおそれがある者』となった場合」の届出義務を廃止したことが記載されています。

「欠格要件に該当した場合の届出義務」が全面的に廃止されたわけではないことにご注意ください。

また、許可申請時における「登記されていないことの証明書」の添付が廃止されたわけでもありません。

まとめ

今回の施行通知の特徴は、本文12ページに加え、6種類もの別紙を使って実務上の取扱いを補足したことです。

特に重要なのは、次の点です。

  • 別紙2の全項目を一般廃棄物処理基本計画本文へ転記する必要はなく、別途策定した災害廃棄物処理計画との連動を明示すればよい
  • 再委託・再々委託先を計画本文に網羅する必要はないが、実際の契約関係と処理経路は市町村が把握しなければならない
  • 再々委託を認めても、市町村による処理先の指定、指導・監督、区域外通知等の責任は残る
  • 一定の破砕・切断・選別施設では、生活環境影響調査書を添付せずに設置特例を利用できる
  • 非常災害廃棄物最終処分場の指定は5年更新であり、定期検査の免除と受入義務がセットになる
  • 通知上の「変更等届出」など、法令に基づく手続きではない運用方針も示されている

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