2026年9月15日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和8年環境省令第25号)」が公布されました。
2026年9月15日付 環境省 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布等について」
今回の施行規則改正は、2026年9月16日に施行された非常災害廃棄物関連の改正廃棄物処理法に対応するものです。
改正法及び施行令については、前回の記事「非常災害廃棄物関連の改正法が9月16日より施行―改正された政令とパブコメ回答も解説」で解説しました。
今回は、その細目を定めた施行規則改正と、同時に公表されたパブリックコメントへの回答のうち、実務上注意しておきたい点を取り上げます。
1.自治体と処理業者等との協定に記載すべき事項
改正廃棄物処理法では、非常災害廃棄物の処理に備え、都道府県及び市町村に対し、平時から廃棄物処理業者等との協定締結に努めることが定められました。
今回の施行規則改正では、その協定に記載すべき事項が具体化されました(施行規則第1条の2の3第1項、第1条の21第1項)。
主な記載事項は、
- 協定に参加する者の氏名又は名称
- 非常災害廃棄物適正処理業者による非常災害廃棄物の処理の内容
- 都道府県知事又は市町村長が非常災害廃棄物の処理を求める場合の手続
などです。
また、都道府県と区域内の市町村・隣接都道府県との協定、市町村と都道府県・他市町村との協定についても、協定の記載事項が定められました(施行規則第1条の2の3第2項、第1条の21第2項)。
- 協定に参加する者の氏名又は名称
- 都道府県や市町村に対し非常災害廃棄物の処理に関する協力を求める場合の手続
などです。
従来から自治体と業界団体等との間で災害時の協力協定が締結されている例は多数あります。
今回の改正によって、
単に「災害時には協力する」という包括的な協定を結んでおくだけではなく、
誰が、どのような処理を、どのような手続で行うのかを平時から具体化しておくことが、より重要となりました。
2.非常災害廃棄物最終処分場の指定申請手続
改正法では、非常災害廃棄物の最終処分先を平時から確保するため、「非常災害廃棄物最終処分場」の指定制度が創設されました(廃棄物処理法第9条の3の4)。
今回の施行規則改正では、その指定を受けるための申請手続や指定基準が定められました(施行規則第5条の10の22から第5条の10の24まで)。
申請書には、
- 申請者の氏名又は名称及び住所
- 最終処分場の設置場所
- 最終処分場の種類
- 処分する非常災害廃棄物の種類
- 最終処分場設置許可の年月日及び許可番号
- 申請者の能力に関する事項
などを記載します。
また、指定を受けるためには、
- 「非常災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を確保するために必要な体制を有すること」
- 「非常災害廃棄物の処分を的確に行うに足りる知識を有すること」
などの能力基準を満たす必要があります。
前回の記事で解説したとおり、指定の有効期間は5年間です。
指定を受けた最終処分場の設置者には、非常災害時に処理を求められた場合、正当な理由がない限り、その委託を受ける義務が生じます。
「非常災害廃棄物最終処分場」の指定を受けるということは、非常災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を進めるために、貴重な埋立容量を差し出す覚悟が不可欠となります。
3.産業廃棄物処理施設で処理できる災害廃棄物の範囲が拡大
実務上重要なのが、産業廃棄物処理施設を一般廃棄物処理施設として利用する際の特例です。
廃棄物処理法第15条の2の5では、一定の産業廃棄物処理施設について、都道府県知事への届出により、一般廃棄物処理施設の設置許可を別途取得することなく、産業廃棄物と「同様の性状」を有する一般廃棄物を処理できる特例が設けられています。
今回、この特例の対象として、安定型産業廃棄物と同様の性状を有する非常災害廃棄物と、それを処理する安定型最終処分場が追加されました(施行規則第12条の7の16)。
4.「同様の性状」であれば、設置許可に係る産業廃棄物と同じ種類である必要はない
もう一つ重要なのが、「同様の性状」の考え方です。
パブリックコメントでは、施設の設置許可を受けた産業廃棄物以外の品目についても処理できるようにしてほしいとの意見が出されています。
これに対し環境省は、金属くずや繊維くず等であっても、当該施設の設置許可に係る産業廃棄物と「同様の性状」を有する災害廃棄物であれば処理できるとの考え方を示しました。
つまり、
「産業廃棄物としての種類が一致しているか」
ではなく、
「施設で処理している産業廃棄物と同様の性状を有しているか」
が判断基準となります。
これは、災害廃棄物が通常の事業活動から排出される産業廃棄物とは異なり、多種多様な物が混在することを考えれば合理的な整理です。
一方、「同様の性状」が具体的にどの範囲を意味するのかについては、パブリックコメントでも疑問が呈されています。
環境省は、その具体的な種類等について「施行通知において具体的に示す」と回答しています。
実際の受入れ判断に際しては、この施行通知の公表を待ち、そこで示された判断基準を参照していく必要があります。
5.生活環境影響調査書を省略できる施設
今回の法改正では、非常災害時に一般廃棄物処理施設を迅速に設置できるよう、生活環境への支障が生ずるおそれが少ない施設については、設置届出時の生活環境影響調査書の添付を省略できる制度が新設されました(廃棄物処理法第9条の3の3)。
その対象施設については、施行令で、
- 廃プラスチック類の切断施設
- 紙くずの破砕施設
- 繊維くずの破砕・切断施設
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの破砕施設
- コンクリートがら等の分別施設
の5種類が規定されています。
今回の施行規則改正で、この特例を利用する際の届出手続等が整備されました(施行規則第5条の10の5から第5条の10の21まで)。
特に興味深いのが、パブリックコメントに対する環境省の回答です。
選別施設について、「構造、処理能力及び処理方式等を勘案して個別に判断すべき」との趣旨の回答がされています。
しかしながら、今回政令で対象とされた「分別」は、
「コンクリートの破片その他これに類する不要物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において行う分別」
とされています。
災害廃棄物の処理工程に設置される選別設備であれば、相当広い範囲がこの「分別」に該当すると考えられます。
そうすると、少なくとも実務上は、選別設備について「構造、処理能力及び処理方式等」を個別に検討する場面がどの程度残るのか、やや疑問が残ります。
今回の改正は、非常災害時の迅速な施設設置を目的としたものですので、結果として選別設備のかなり広い範囲で生活環境影響調査書の添付が不要になるものと思われます。
まとめ
今回の施行規則改正によって、2026年の災害廃棄物関連改正は、実際に運用するための細部までおおむね整いました。
特に実務上重要なのは、
- 自治体と処理業者等との協定内容の具体化
- 非常災害廃棄物最終処分場の指定手続
- 産業廃棄物処理施設を利用した災害廃棄物処理の対象拡大
- 生活環境影響調査書を省略できる施設の拡大
です。
法令という制度面では、非常災害発生時の特例措置に関する整理が若干進みましたが、それを実際の災害時に機能させられるかどうかの方がより重要です。
今回の改正法の成否は、平時の段階で自治体と処理業者がどこまで具体的な処理体制を準備できるかに掛かっていると言えます。
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