2026年3月26日に、環境省から
「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和5年度実績等)について」
が公表されました。
統計資料の詳細データはこちら:
https://www.env.go.jp/content/000385226.pdf
1.産業廃棄物処理施設の設置状況(≒日本全体の産業廃棄物処理能力)
令和5年度末時点(令和6年4月1日現在)の産業廃棄物処理施設の設置許可件数は、
21,116件(前年度比 ▲44件)
となっています。
内訳は以下のとおりです。
- 中間処理施設:19,565件(▲44件)
- 最終処分場:1,551件(±0件)
中間処理施設が減少し、最終処分場は横ばいという構図です。
増減の内訳
増加した主な施設は以下の5類型です。
- シアン化合物の分解施設(+1)
- 廃プラスチック類の破砕施設(+36)
- 木くず又はがれき類の破砕施設(+38)
- 廃水銀等の硫化施設(+1)
- 管理型最終処分場(+3)
廃プラスチック類と木くず又はがれき類の破砕施設が前年度よりも増加しているのは、例年どおりの傾向です。
2.産業廃棄物処理業の許可件数
事業者数ではなく「許可件数」ですので、一社で複数の自治体の許可を取得した場合、その許可件数がすべてカウントされることになります。
令和5年度の許可件数は、
272,301件(前年度比+7,057件)
内訳:
- 産業廃棄物処理業:248,458件(+6,552件)
- 特別管理産業廃棄物処理業:23,843件(+505件)
実務的な見方
- 許可件数は引き続き増加傾向
- 制度簡素化(政令市許可不要)後も増加が継続
参入・拡大意欲は依然として強い
また、
収集運搬(積替え保管なし)の許可件数は
248,217件
まで増加しています。
廃止届
令和5年度の廃止届は、
2,147件(前年度1,984件 → 増加)
撤退も一定数存在しており、参入と退出の双方が見られる状況です。
3.取消処分等の状況
令和5年度の取消件数は以下のとおりです。
- 産業廃棄物処理業:296件
- 特別管理産業廃棄物処理業:13件
- 処理施設:6件
合計 315件(前年度219件 → +96件)
停止処分等を含めると
- 産業廃棄物処理業の許可取消:316件(許可取消+事業の全部停止)
- 特別管理産業廃棄物処理業の許可取消:15件
- 産業廃棄物処理施設:22件(改善命令等含む)
措置命令
- 法第19条の5:22件(前年度12件 → 増加)
- 法第19条の6:0件
令和5年度は法第19条の6に基づく措置命令は0件となっています。
令和4年度には同条に基づく措置命令件数が計上されていましたが、今回の公表資料では0件と修正されており、数値の取扱いが変更されたものと思われます。
4.最終処分場の状況(残余年数)
令和5年度末の状況は以下のとおりです。
- 残存容量:17,742万m³(▲約322万m³)
- 最終処分量:875万トン(前年度902万トン → 減少)
残余年数
20.3年(前年度20.0年 → +0.3年)
- 首都圏:10.4年
- 近畿圏:19.5年
実務的な読み方
- 残存容量は減少しているが
- 処分量も減少しているため
結果として残余年数は微増
まとめ(実務ポイント)
今回のデータから読み取れるポイントは以下のとおりです。
- 許可件数は引き続き増加 → 業界の参入・拡大は継続
- 中間処理施設 → 全体としては横ばい圏で推移(施設類型ごとに増減が分かれている)
- 最終処分場は横ばい → 新規整備は依然ハードル高い
- 取消処分は増加 → コンプライアンス重要性の高まり
- 残余年数は20年超 → ただし余裕があるとは言えない水準
許可件数の増加により、業界全体としてはプレイヤー数の拡大が続いている一方で、処理施設の設置件数は横ばいにとどまり、行政処分件数は増加しています。
また、廃止届の件数も前年度より増加しており、参入と退出の双方が活発化している状況にあります。
このことから、業界は単純な拡大局面にあるというよりも、参入の増加と規律の強化の中で事業者の入れ替わりが進んでいる段階にあると考えられます。
実務的には、適正処理能力の差がより明確になりつつあり、「選別と淘汰」が進行している局面と見ることもできるでしょう。







