ごみ収集に年少者アルバイトを雇う際の注意点─廃棄物の種類と作業内容によっては法律違反になります

2026年5月に、厚生労働省から「ごみ収集等の業務に満18歳未満の高校生等を就業させる場合に注意していただきたいこと(令和8年5月)」という啓発リーフレットが公表されました。

廃棄物収集運搬業務に密接な関わりを持つテーマであるため、このリーフレットに書かれている内容を廃棄物処理業の現場目線で読み解きます。

はじめに──「人手が足りないから高校生アルバイトに手伝ってもらおう」の落とし穴

繁忙期や急な欠員のとき、「高校生のアルバイトにごみ収集を手伝ってもらいたい」というニーズがあります。

結論から言うと、18歳未満(年少者)にごみ収集をさせること自体は禁止されていません。

ただし、「何を収集する仕事か」と「どの作業を任せるか」によって、適法か違法かがくっきり分かれます。

ここで重要となるのが、「雇用する人の年齢」と「廃棄物の区分」です。

一般廃棄物なのか、特別管理一般廃棄物なのか、産業廃棄物なのか。

この区分が、そのまま労働基準法上の「18歳未満を就業させられるか」の線引きになります。

廃棄物処理法の知識と労基法の知識が交差する、見落とされやすいポイントです。

まず結論──廃棄物の種類別「年少者を就業させられるか」の可否

収集等の対象18歳未満(年少者)の就業
一般廃棄物(特別管理一般廃棄物を除く)就業可(ただし機械式ごみ収集車への投入作業等は除く)
特別管理一般廃棄物就業不可
産業廃棄物就業不可

※特別管理一般廃棄物とは、一般家庭等から排出される廃棄物のうち、爆発性・毒性・感染性などを有するものを指します。

つまり、

  • 家庭ごみのような通常の一般廃棄物の収集は、作業内容に気をつければ年少者も従事できる
  • 産業廃棄物の収集運搬は、作業の軽重にかかわらず年少者は一切従事できない
  • 特別管理一般廃棄物も同様に従事できない

という整理です。

「うちは産廃の収集運搬がメインだから、高校生に積込みだけ手伝ってもらおう」というのは、そもそも認められませんので、特にご注意ください。

なぜ産廃・特管はダメで、一般廃棄物は条件付きでOKなのか

根拠は労働基準法第62条(危険有害業務の就業制限)と、その委任を受けた年少者労働基準規則第8条です。

労基法第62条は、18歳未満の者を、運転中の機械の危険な部分への作業や、有害物・危険物を取り扱う業務、衛生上有害な場所での業務などに就かせてはならないと定めています。

具体的な禁止業務は年少者労働基準規則第8条に列挙されています。
※条文上は第一号から第四十六号まで番号が振られていますが、第二十号と第三十号が「削除」となっているため、実際に挙げられている禁止業務は44種類です。

今回の記事の対象となる該当業務は、第四十二号「焼却、清掃又はと殺の業務」です。

かつては、ごみの収集・運搬がこの「清掃の業務」に該当すると解釈されており(昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号「労働基準法関係解釈例規」)、ごみ収集は廃棄物の種類を問わず、年少者の就業が全面的に禁止されていました。

これを改めたのが、令和2年3月26日付け基発0326第13号です。

基発0326第13号
令和2年3月26日

年少者の就業制限の業務の範囲に係る解釈の一部改正について

 年少者労働基準規則(昭和29年労働省令第13号。以下「年少則」という。)第8条第42号の解釈については、昭和63年3月14日付け基発第150号・婦発第47号「労働基準法関係解釈例規」(以下「通達」という。)で示してきたところであるが、今般、焼却及び清掃の業務における現代の実態等を踏まえると、特に廃棄物の焼却、収集又は運搬の業務については、機械式ごみ収集車のごみ投入口に一般廃棄物を投入する作業等、一部に安全又は衛生に有害な場所における業務はあるものの、福祉に有害な場所における業務であるとはいえないため、下記のとおり通達の一部を改正することとしたので、了知されたい。

 第62条関係の年少則第8条第42号を以下のとおり改める。

<焼却の業務>
 「焼却の業務」とは、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する「廃棄物」をいう。以下同じ。)の焼却、死体火葬等の業務をいう。

<清掃の業務>
 「清掃の業務」とは、一般廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条第2項に規定する「一般廃棄物」をいう。ただし、同条第3項に規定する「特別管理一般廃棄物」を除く。)以外の廃棄物の収集又は運搬をいう。なお、一般廃棄物の収集又は運搬に係る業務であっても、機械式ごみ収集車のごみ投入口に一般廃棄物を投入する作業等は含まれるものであること。

この通達は、焼却・収集・運搬の現代の実態を踏まえ、これらの業務には一部に安全・衛生上有害な場所での作業はあるものの「福祉に有害な場所における業務」とまではいえないとして、第四十二号の「焼却の業務」「清掃の業務」の定義、すなわち年少者が就業できない業務の定義を次のように改めました。

  • 焼却の業務:廃棄物(廃棄物処理法第2条第1項の「廃棄物」。一般廃棄物・産業廃棄物の双方を含む)の焼却、死体火葬等の業務
  • 清掃の業務一般廃棄物(特別管理一般廃棄物を除く)以外の廃棄物の収集又は運搬

日本語としてはややこしい表現になっていますが、「一般廃棄物(特管を除く)以外の収集・運搬」と定義されたため、「年少者が就業できない清掃業務」は、①特別管理一般廃棄物の収集運搬と②産業廃棄物の収集運搬となりました。

この通達により、(特別管理廃棄物以外の)一般廃棄物の収集・運搬は、年少者であっても就業可能な業務になったわけです。

ただし、この通達には重要な「なお書き」があります。

なお、一般廃棄物の収集運搬であっても、機械式ごみ収集車のごみ投入口にごみを投入する作業等は、年少者が就業できない危険業務である「清掃の業務」に含まれる、とされています。

つまり、一般廃棄物の機械式ごみ収集車のごみ投入口への投入作業は、労働基準法第62条の年少者の就業不可の業務に該当するという解釈は、令和2年通達でも変わりませんでした。

一般廃棄物の収集運搬でも、機械式ごみ収集車のごみ投入口への投入作業だけ、年少者にさせられないという解釈は通達のこの一文が根拠となっています。

通達に基づき、年少者労働基準規則第8条第四十二号で年少者に禁止されている「清掃の業務」を整理すると、次の3つとなります。

  1. 特別管理一般廃棄物の収集運搬
  2. 産業廃棄物の収集運搬
  3. 一般廃棄物の機械式ごみ収集車への投入作業等

この線引きが廃棄物の「種類」と「作業内容」で決まっている点は、廃棄物の区分を日常的に判断している廃棄物処理業者にとってはむしろ理解しやすいはずです。

一般廃棄物の収集運搬自体は可能であるが、機械式ごみ収集車への投入作業等はNG、という点に注意が必要です。

「投入作業」がなぜ危険なのか──実際に起きている重大災害

投入作業が解禁されなかった背景には、機械式ごみ収集車(いわゆるパッカー車)に潜む重大な危険があります。

パッカー車には、ごみを巻き込んで車内に送り込む回転板や、後部のテールゲートがあります。

ここに身体が巻き込まれたり挟まれたりする危険があり、実際に重大な労働災害が発生しています。

リーフレットでも、次のような事故が紹介されています(趣旨を要約します)。

  • 回転板を連続運転させたままプラスチックごみの回収をしていたところ、テールゲート内に身体の一部が入り込み、頭部を回転板に巻き込まれた
  • ごみの投入部に段ボールが詰まり、両手で押し込もうとしたところ、プレスプレートに両手を挟まれた
  • 詰まりの警報が鳴ったためテールゲートを上げて内部を確認していたところ、別の作業員が誤ってテールゲートを下降させ、上半身を挟まれた
  • テールゲートを清掃していたところ、別の作業員が積込み開始と勘違いして回転板を動かし、肘を巻き込まれた

いずれも、判断力・危険予知能力が発達途上にある年少者には特に危険な作業です。

だからこそ、ごみの投入作業は18歳以上の労働者が行う必要があり、年少者を作業中、テールゲートに近接させないようにしなければなりません。

では、年少者には何を任せられるのか

「投入はダメ」と聞くと現場が混乱しがちなので、任せてよい作業の例も押さえておきましょう。

リーフレットでは次のような作業が挙げられています。

機械式ごみ収集車(パッカー車)で収集する場合

  • あちこちに点在するごみ集積所から、ごみ収集車の近くまでごみを運ぶ作業
  • ごみ投入口への投入作業そのものは18歳以上の労働者が担当する。
  • 巻き込まれ等の危険があるため、年少者を作業中テールゲートに近づかない

機械式ではなく、トラックで収集する場合

  • ごみ(生活系一般廃棄物)を荷台に積み込む作業

「回転板・テールゲートに近づく作業(=投入)は18歳以上」
「運搬・トラックへの積込みは年少者も可」
という切り分けが基本線になります。

班編成や役割分担を決める段階で、この線引きを織り込んでおくと安全です。

あわせて押さえたい、年少者を雇うときの基本ルール

ごみ収集の作業制限だけでなく、年少者(18歳未満)を雇用する際には労基法上の一般的な保護規定も適用されます。

アルバイト・パートであっても同様ですので、見落としがちな点を挙げておきます。

  • 年齢区分の確認:満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わるまでの者(=児童)は、原則として使用できません。リーフレットが想定するのは、それ以降〜満18歳未満の「年少者」(高校生に相当)です。
  • 年齢証明書の備付け:年少者を雇う場合、年齢を証明する書類(住民票記載事項証明書等)を事業場に備え付ける必要があります(労基法第57条)。
  • 深夜業の制限:年少者は、原則として午後10時〜午前5時の深夜業に就かせることができません(労基法第61条)。早朝のごみ収集は時間帯に注意が必要です。
  • 労働時間の制限:年少者には変形労働時間制等の一部が適用されないなど、労働時間にも制限があります(労基法第60条)。
  • 未成年者の賃金請求権:賃金は未成年者本人が請求でき、親権者等が代わって受け取ることはできません(労基法第59条)。

罰則──「知らなかった」では済まされない

危険有害業務の就業制限(労基法第62条)や深夜業の制限(労基法第61条)に違反した場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます(労基法第119条)。

人手不足のなかでの「ちょっと手伝ってもらう」が、結果として重大災害や罰則につながりかねません。

とりわけ、産業廃棄物の収集運搬で年少者を使うことはそもそも認められない点を、現場の班長クラスまで共有しておくことが重要です。

実務チェックリスト

年少者にごみ収集を手伝ってもらう前に、次の点を確認してください。

  1. 収集対象は何か … 産業廃棄物・特別管理一般廃棄物なら年少者は就業不可。特別管理廃棄物ではない一般廃棄物なら条件付きで可。
  2. 任せる作業は何か … 機械式ごみ収集車への投入作業はNG。運搬・トラックへの積込みは可。
  3. テールゲート・回転板に近づかせない … 投入作業は18歳以上が担当し、年少者を近接させない。
  4. 年齢と書類 … 児童(15歳到達後最初の3/31まで)は原則不可。年齢証明書を備え付ける。
  5. 時間帯 … 早朝・深夜の収集は深夜業制限に注意。
  6. 作業班への周知 … 現場の判断で年少者に投入を任せてしまわないよう、ルールを共有する。

おわりに

ごみ収集における年少者の就業制限は、廃棄物の区分という、廃棄物処理業界で日常的に扱っている知識がそのまま安全管理・労務管理に直結する好例です。

「一般廃棄物か、産廃・特管か」「投入作業か、運搬・積込みか」──この2つの軸を押さえておけば、年少者の就業可能業務を適切に判断できます。

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