「今後の廃棄物処理制度のあり方について(意見具申)(案)」の分析(第3回目 災害廃棄物)

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引用元資料 2026年1月9日付 環境省発表
今後の廃棄物処理制度のあり方について(意見具申)(案)

今回は、「5.災害廃棄物への対応」中の、廃棄物処理法改正テーマとなる可能性が高い「見直しの方向性」について見ていきます。

※原文のままでは読みにくいため、箇条書きと段落追加を施しました。
① 公費解体・災害廃棄物処理を横断的に調整支援する専門支援機能(機関)の規定整備

  • 全国の自治体において、災害時の廃棄物対応に関して自治体内で体制の確保を行う必要があるが、マンパワーやノウハウが不足する状況にあっても、災害廃棄物処理計画(受援計画を含む。)の策定・改定及び住民への周知、民間事業者等との災害時支援協定の締結やその見直し、研修・訓練の実施、災害廃棄物に関する技術的な研究・開発等を行う必要があり、国において全国横断的に平時の備えを支援することが必要である。
  • また、発災時には多種多様な事業者・支援者に対して業務依頼・調整を行いつつ、災害廃棄物(安全性の観点から特別な管理が必要なもの(廃石綿等)や、処理先の確保が困難なもの(農薬、灯油等)を含む。)の適正処理、被災した損壊家屋等についてその所有者に代わって市町村が行う公費解体に係る発注関係事務、進捗管理、施工監理、各種調整等を迅速・円滑に行う必要がある。
  • しかし、被災自治体が単独でこれらを行うことは非常に困難であり、災害の規模・種類や被災自治体の体制に応じて、被災自治体における様々な事務手続や各種調整等の支援を横断的に行う機能を、全国共通で安定的かつ継続的に確立・確保する必要がある。
  • このためには、平時及び発災時の自治体支援については、環境省地方環境事務所の体制強化などを図っていく必要があるが、国のみならず、激甚災害への備えとして、災害への対応に係る知見をより効果的に集積するための支援機能を有する機関による体制の整備が必要である。
  • その支援機能が備えることが望ましい要件としては、廃棄物処理・公費解体に関する技術的・専門的な知見・経験を有すること、多様な関係者・関係機関(自治体、事業者等)との調整に関する知見・経験・能力・連携ネットワーク基盤を有すること、現地支部を発災早期に設置するなど全国的な対応が可能であること、国と一体となって事業を支援することができること等が挙げられる。
  • 国においては、こうした要件を具備した体制を確保する必要があり、具備要件を満たす機関として、災害支援を通じて専門的知見を蓄積してきたJESCOや、その他の関連機関が想定される。これら JESCOその他の専門支援機能を有する機関に対して、平時の備えや被災自治体への支援を委託できるよう、必要な規定を整備すべきである。

今後も災害が発生する可能性が高い日本においては、災害発生後の廃棄物処理が常に喫緊の課題となります。

阪神淡路大震災以降、幾たびかの大災害の経験を経て、昭和時代と比べると、災害廃棄物処理に関しては知見の集積がかなり進みました。

その成果を維持するため、国の支援の他、被災自治体との連絡調整を行う機関としてJESCOを廃棄物処理法で指定する運びとなる見込みです。

※原文のままでは読みにくいため、箇条書きと段落追加を施しました。
② 一般廃棄物処理計画・災害支援協定に基づく災害廃棄物処理に係る特例措置等の整備

  1. 市町村における、平時の一般廃棄物処理と発災時の災害廃棄物処理の一体性と連動性を確保することにより、災害廃棄物処理計画の実効性をより高める観点から、法定計画である一般廃棄物処理計画の規定事項へ、非常災害時の廃棄物処理に関する事項を追加すべきである。その際、例えば、市町村地域防災計画に災害時の廃棄物処理に関する事項を記載する一体策定や、複数の自治体が共同して災害廃棄物処理計画を策定する共同策定など、地方分権改革における考え方を踏まえた柔軟な制度運用となるよう、国から自治体に周知・助言すべきである。
  2. 災害廃棄物処理計画の策定・改定、民間事業者・団体等との連携を促進し、平時の一般廃棄物処理とも連動させつつ、発災時の災害廃棄物処理の実効性を高める必要がある。
  3. このため、市町村の災害廃棄物処理計画や、自治体と民間事業者・団体等との災害支援協定を制度化する必要がある。市町村だけでは対応が難しい災害廃棄物対応について、他の自治体や民間事業者・団体等と連携することで、より円滑な対応が可能となることから、自治体間及び民間事業者・団体等との災害支援協定の締結・活用を促進する観点から、災害廃棄物処理計画に基づく災害支援協定の締結を、自治体の努力義務とすべきである。
  4. その際、災害の規模・種類や被災自治体の体制に応じて柔軟な対応が可能となるよう、都道府県と連携した広域的な枠組みでの協定締結を可能とするなど、柔軟な制度運用となるよう国から自治体に周知・助言すべきである。
  5. 自治体や民間事業者・団体からの要望等を踏まえ、適正処理の確保を前提としつつ、円滑・迅速な処理の観点から、災害廃棄物処理に係る特例措置等の拡充を図る必要がある。
  6. 適正処理の確保及び責任の所在の明確化を前提に、当該自治体から委託を受けた民間事業者等が災害廃棄物処理を行う場合には、一般廃棄物処理の委託基準(再委託)を合理化する災害時特例を措置すべきである。
  7. 廃棄物処理法第15条で規定する産業廃棄物処理施設以外の産業廃棄物処理施設(畳、瓦、石膏ボードの破砕施設等)で当該産業廃棄物の処理を行う事業者が、当該産業廃棄物と同種の災害廃棄物の処理を行う場合については、手続きの簡素化を図るなど、一般廃棄物処理施設の設置に係る災害時特例措置を拡充すべきである。
  8. 国の基本方針及び都道府県廃棄物処理計画に、公費解体工事等の円滑な実施のために必要な事項を記載すべきである。

気になった部分のみ反応していきます。

「1」
「一般廃棄物処理基本計画」に、「非常災害時の廃棄物処理に関する事項」を追加すべきとされています。

一部委員が自治体の現状を鑑みながら、「何でも計画に入れてしまえば済むという問題ではない」という指摘をしていましたが、小委員会としては「計画に追加」という結論に至った模様です。

果たして、廃棄物処理インフラを持たない市町村の場合、実効性のある計画を策定できるのかどうか?

「6」
「一般廃棄物処理の委託基準(再委託)を合理化する災害時特例を措置すべき」の具体案としては、下記の画像のとおり、災害廃棄物処理に協力する団体(総元締め)から、その下の「協定受託者」、さらに「最終処分業者」へと、形式的には「再委託」と「再々委託」をできるような規定を整備するということです。
私見としては、「総元締め」から「最終処分業者」に直接「再委託」をするようにすれば、「再々委託かどうか」で頭を悩ませる必要が無いように思いましたが、迅速性や確実性を担保するためには、そのような小手先のテクニックでは足りないということなのかもしれません。

「7」
「産業廃棄物処理業者が、当該産業廃棄物と同種の災害廃棄物の処理を行う場合については、手続きの簡素化を図るなど、一般廃棄物処理施設の設置に係る災害時特例措置を拡充すべき」とされています。

「設置許可が必要な産業廃棄物処理施設」については、現行法でも、廃棄物処理法施行規則第12条の7の16で『産業廃棄物処理施設の設置許可に係る産業廃棄物と同一の種類のものに限らず(規則第 12 条の7の16第1項の規定にかかわらず)、当該施設において処理する産業廃棄物と同様の性状を有する災害廃棄物を処理することができる』とされていますが、

「畳、瓦、石膏ボードの破砕施設等」の「設置許可が必要ない産業廃棄物処理施設」については、上記の特例措置を適用できなかったという、滑稽と言わざるを得ない立法上の瑕疵が問題として認識されました。

具体的な「手続きの簡素化」の内容については、意見具申案ではまったく触れられておらず、事実上環境省の裁量に委ねられた状態です。災害廃棄物処理に協力した実績のある団体に、具体的な簡素化案を提案していただくことを期待しております。

③ 廃棄物最終処分場での災害廃棄物の受入容量確保に係る特例制度の創設

災害廃棄物を受け入れる能力を有する民間の廃棄物最終処分場について、申請に基づき都道府県知事が指定を行う制度及び指定を受けた者に対する制度的な措置を創設するとともに、災害発生時に一定の基準を満たす場合には、都道府県又は市町村が、当該指定を受けた廃棄物最終処分場の設置者に対して、災害廃棄物の最終処分の受入れを求めることができるようにすべきである。

上記の意見具申案の記載だけで、具体的なパブリックコメントを思いつくことができる人は皆無と思いますので、環境省の関連資料を挙げておきます。

これでもよくわかりません(苦笑)。

「災害廃棄物の最終処分の受け入れを求めることができるようにすべき」という一文に、個人的には「私有財産の侵害」というきな臭さを感じてしまいました。

民間事業者が苦労して設置した最終処分場を、自治体の一言で強制的に災害廃棄物の受け皿として召し上げることは、日本国憲法第29条第1項で禁止されています。

日本国憲法第29条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

しかし、第29条第3項では「正当な補償の下、公共のために用いることができる」とも規定されていますので、廃棄物処理法改正でこのデリケートな部分に踏み込むことになるのでしょうか?

おそらく、そのような強権的な規定ではなく、「協力のお願い」レベルの浪花節的な動きを想定したものと思われますが、言うまでもなく、最終処分場での埋立は、災害廃棄物を無害化・安定化・減容化した上でやるべき処理ですので、拙速に災害廃棄物処分を急ぐと、周辺地域の住民の生活環境が害されるおそれがあります。

最終処分場は災害廃棄物処理に欠くことができない最後のピースですので、拙速に食いつぶすのではなく、できるだけ長期間使い続けられるように、中間処理施設を拡充する取組みの方が重要性が高いように思いました。

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