2026年1月9日付で、環境省から「今後の廃棄物処理制度のあり方について(意見具申)(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について」が公表されました。
1.今般、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会において「今後の廃棄物処理制度のあり方について(意見具申)(案)」をとりまとめました。
2.本案について、広く国民の皆様から御意見をお聴きするため、令和8年1月9日(金)から令和8年2月7日(土)まで、御意見を募集(パブリックコメント)します。
意見募集期間が「30日間(日曜・祝日含む)」しかありませんので、取り急ぎ詳細をご紹介していきます。
ただし、意見具申の対象はわずか「3項目」で、報告書全体でも11ページしかありませんので、項目ごとの3回の連載記事とさせていただきます。
ちなみに、前回同様の手続きを行った年度は2017(平成29)年度の廃棄物処理法改正議論の時ですが、当時の報告書案は全部で21ページもありましたので、今回の報告書案の11ページという著しくスリム化できた秘訣をお聞きしたいものです。
「改正法施行後5年後のタイミング」で廃棄物処理法改正の議論を行うたびに、毎回議論の進め方や論点の決め方がおざなりになっている気がしてなりません・・・
愚痴を言っていても仕方がありませんので、本題の「2026年改正が予定されている項目」の1つ、「不適正スクラップヤード問題への対応と再生材供給のサプライチェーン強靭化の推進」の「見直しの方向性」を見ていきましょう。
※解説の都合上、報告書案にリスト番号を付記しました。
1. 不適正スクラップヤード対策
- 廃棄物処理法上の廃棄物又は有害使用済機器に該当しない、雑品スクラップや使用済鉛蓄電池等の不適正な処理に起因する生活環境保全上の支障が生じているところ、これらの物品を対象とした適正な処理を確保するための全国で統一的な制度の創設が必要である。
- 制度の対象となる物品については、有害使用済機器に加え、有害性又は危険性を有し、ぞんざいに扱われた場合に人の健康又は生活環境保全上の支障を生じるおそれが大きい使用済鉛蓄電池や使用済リチウム蓄電池等と、一定程度集積し、不適正に処分されることにより生活環境保全上の支障を生じるおそれのある金属スクラップや雑品スクラップ等が考えられる。このため、取引価値を有するものの、本来の用途のためには取り扱われず、破損、浸水等を考慮せずにぞんざいに扱われる性格を有しているものであって、金属やプラスチックが含まれる使用済の物品に対して、包括的に制度の網をかけられるような定義付けをすべきである。
- 更なる生活環境保全上の支障の発生を防止するためには、生活環境保全上の配慮がなされていること等が確認できない事業者の新規参入を禁止するほか、不適正な処理が確認された場合には取消等により厳格に対処することが効果的である。より実効性の高い措置を求めて、条例の多くが許可制を導入していることを参考に、廃棄物に該当しない、雑品スクラップや使用済鉛蓄電池等の保管・処分を業として行う場合にも許可制などの事前審査制度の導入が必要である。あわせて、有害使用済機器保管等届出制度と比べて罰則を強化すること等により、不適正な処理等を実効的に抑止するための措置を講ずるべきである。
- 対象物品の処分や処分前の保管については、それぞれの物品の性質に応じて、事業者の能力や保管・処分時の設備の構造、処分方法等の基準を設け、生活環境保全上の配慮がなされた一定の要件を満たす事業場においてのみ、例えば使用済鉛蓄電池の解体等の処分ができるような仕組みとすべきである。
- 制度の対象物品の受入れや処分に係る日付や数量等について、帳簿への記載を義務付けること等により、トレーサビリティの仕組みを構築すべきである。
- 使用済鉛蓄電池等について、廃棄物処理法上の廃棄物の取扱いに準じて、国内処理原則を適用し、国内での適正な処理を確保するとともに、輸出に当たっては環境大臣の確認を受けなければならないこととすべきである。
「1」
今回は、「雑品スクラップ」と「使用済鉛バッテリー」を念頭に置いた制度改正、あるいは制度創設であることがわかります。
「2」
2017年改正時も同様でしたが、「取引価値を有するもの」=「有価物」ですので、「有価物以外の廃棄物」の規制法である「廃棄物処理法」で、有価物を規制していく理由や必然性が未消化のままです。しかし、法学の専門家の間では特に問題視されていないようです。個人的には、廃棄物処理法ではなく、別の法律を制定した方が筋が通るように思っています。
「3」
「雑品スクラップ」と「使用済鉛バッテリー」の保管・処分を行う事業者を「許可制」にするそうなので、産業廃棄物所管自治体にとって、頭が痛くなる話です。
スクラップヤードが多い自治体の場合、人員を増員しない限り、既存の職員数だけでは労働過重になること間違いなしです。
おそらく、施行は2027年4月からとなるはずですから、2027年4月に異動してくる人にはご愁傷様というしかなさそうです。
「4」
「許可基準」「設備の構造基準」「処分基準」の話ですので、気になる部分ではありますが、「施行令」や「施行規則」の改正を待つしかありません。
「5」
帳簿の作成義務の話ですので、行政職員とヤード事業者だけが気にするべき内容です。
「6」
特に異論ありません。
2.使用済となったリチウム蓄電池等への対応
○リチウム蓄電池及びリチウム蓄電池使用製品に起因して、スクラップヤードにおいて火災が発生していることに加え、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集運搬車両や処理施設においても火災が頻発していることを踏まえ、廃棄物となったリチウム蓄電池等について、廃棄物処理工程に意図せず混入し、処理施設において火災が発生することを防止するため、収集運搬や保管時に他のものと区分することや産業廃棄物の委託契約においてリチウム蓄電池等の含有の有無を明確にするための仕組み等を導入すべきである。
実務的には興味深い論点です。
産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項の一つとして、「リチウムイオン電池の含有有無」の記載が義務付けられた場合、産業廃棄物処理業者の事業所でリチウムイオン電池由来の火災が発生すると、その記載の有無や、実際の電池混入の有無が損害賠償請求のきっかけになりそうです。
もちろん、多数の排出事業者の産業廃棄物が一挙に投入される大規模事業場の場合、個別の企業のリチウムイオン電池含有有無を調査することは、現状では物理的に困難ですが、AIの技術革新に伴い、より安価に古いわけが可能になる可能性も高いため、排出事業者と処理業者間のせめぎあいが進む未来が見えました(予言 笑)。
3.再生材供給のサプライチェーン強靭化の推進
○国内で資源を循環させて最大限活用することは、環境負荷の軽減に加え、国際的な産業競争力や経済安全保障の強化にも資するものであり、製造業への原料の安定供給につなげていくという観点も重要である。これらの制度的措置の検討に当たっては、環境保全の観点から国内の不適正なスクラップヤード事業者に対して是正を求めるべく制度を厳格化するとともに、適正なスクラップヤード事業者や廃棄物処理業者、精錬事業者が資源循環の推進にも貢献していることに十分配慮し、関係省庁・部局とも連携しながら、適正な事業者にとって過度な負担とならないような配慮が必要である。
○不適正な処理が行われるスクラップヤードを規制することにより、これにつながる商流を断ち、公正な競争環境を整備するとともに、再生材製造の原料の安定調達のための物流網の効率化(ネットワーク形成)や適正かつ競争力のあるリサイクルを行う再生材製造拠点の構築を進め、再生材供給サプライチェーンの強靱化を図るべきである。
○金属スクラップ類やリチウム蓄電池など、有償で取引されていることから不適正スクラップヤード問題の影響を強く受ける循環資源については、排出以降の取引実態が不明である。商流の実態把握や適正処理が可能な施設で集約的な処理を進めるための検討を深掘りすべく、引き続き、必要な調査を継続し、制度的検討を進める必要がある。
この部分は、「政策目標に関する調査の必要性や、既存処理業者の負担軽減に関する注文」という位置づけですので、特に言及する必要は無いかと思います。




