産業廃棄物管理票の運用違反と無届の積替保管内容の変更で事業の全部停止60日間

2026年になりました。今年も当ブログを御愛読の程、よろしくお願い申し上げます。

「お前に見守られたくないよ!」と言われるだけかもしれませんが、各自治体の行政処分の内容やその根拠が妥当かどうかを検討することを趣味としております。

日本国内に数人もいないと思われる特殊嗜好であることを自覚していますが、そんな特殊嗜好の私が安心して見ていられる自治体の一つは「山口県」です。

山口県は、少量の廃棄物の野外焼却であっても「許可取消処分」を辞さないという、「行政処分の指針」に沿った運用を行う数少ない自治体だからです。

行政処分が峻厳だから山口県を支持するわけではなく、「野外焼却」「無許可変更」「不法投棄」といった、廃棄物処理法で最も重い罰則の対象である違反をした産業廃棄物処理業者はその責任を負う必要があり、それらの違反に対し、「行政処分の指針」で示された「許可取消」を一律に科すという方針は、行政の公平性にも合致するためです。

しかしながら、昨今の実例としては、「無許可変更」や「野外焼却」に対し、「事業の全部停止10日間」という激甘行政処分しか科さない事例が現れています。

「重大な法律違反をしても10日間だけ事業を休めば、何のお咎めも無い」のであれば、廃棄物処理法を守って操業をしている真面目な処理業者が馬鹿を見るだけですので、公平性からあまりにもかけ離れた激甘行政処分は、法治国家としては不適切な状況と言わざるを得ません。

今回の記事でご紹介する長野県の行政処分事例は、そのような激甘行政処分ではなく、「行政処分の指針」に則った適正なものですので、今後は長野県も山口県と同じ「公正な行政処分を科す自治体」に引き上げ、鑑賞対象(?)とさせていただきます。

2025年12月22日付 長野県発表 「産業廃棄物処理業者に対する行政処分を行いました
※当ブログでは社名や許可番号を周知する意図はありませんので、それらの情報は削除しました。

3 行政処分の内容

(1)産業廃棄物収集運搬業の事業の全部停止60日
(令和7年12月22日から令和8年2月19日まで)

(2)特別管理産業廃棄物収集運搬業の事業の全部停止60日
(令和7年12月22日から令和8年2月19日まで)

4 処分理由

(1)被処分者は、令和6年8月、10月及び12月に排出者2者から、産業廃棄物管理票の交付とともに産業廃棄物(廃塗料約3.7t)の引渡しを受けたにも関わらず、それらの産業廃棄物の収集運搬時に産業廃棄物処分業者へ産業廃棄物管理票を回付せず、また収集運搬後に排出者へその写しを送付しなかった。
このことは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第12条の3第3項(産業廃棄物管理票送付・回付義務)に違反する。

(2)被処分者は、過去5年間にわたり、同者の事業所において、排出者11者から引渡しを受けた産業廃棄物(汚泥等約77t)について、産業廃棄物処理業(産業廃棄物収集運搬業)に係る変更の届出を行うことなく積替え保管を行っていた。
このことは、法第14条の2第3項において準用する法第7条の2第3項(産業廃棄物処理業の届出義務)に違反する。

鑑賞ポイント1

産業廃棄物管理票の「不回付」と「排出事業者への未報告」という産業廃棄物管理票の運用義務違反に対し、「事業の全部停止60日間」という比較的重い処分を科している点。

上述したとおり、最近の事例では、事業の全部停止「10日間」とか「20日間」という、意味不明に軽減された処分が科されがちな傾向と比較すると、「60日間」という重い処分を科した姿勢がステキ。

鑑賞ポイント2

「積替保管行為が収集運搬業の無届変更ってどういうこと?」と疑問に思った方は、私と同様の特殊嗜好の持ち主かもしれません(笑)。

長野県産業廃棄物処理業者名簿」で調べたところ、被処分者は「廃油」の積替保管許可を所持していましたので、「『汚泥』の積替保管を勝手にやった行為」は、「収集運搬業の無許可変更」ではなく、「積替保管品目の無届変更」に該当します。

今回の教訓

今回ご紹介した内容は、産業廃棄物処理業者にとっては基本中の基本と言うべき実務上の違反です。

単なるミスなのか、それとも他の意図があったのかどうかはわかりませんが、簡単に実行できる、また実行しなければならない手続き違反で社名を公表されたい企業は皆無でしょうから、新年を迎え、気持ちを引き締めるのに最適なタイミングである今こそ、他の産業廃棄物処理企業の皆様も、同様の違反が起きていないかどうかを念のために再確認しておいてください。

コメントする