2025年12月19日に、環境省から「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和6年度)について」が発表されました。
環境省の発表内容によると、
(1)令和6年度に新たに判明した不法投棄事案
・ 不法投棄件数 106件 (前年度100件) [+6件]
・ 不法投棄量 1.4万トン (前年度4.2万トン) [-2.8万トン](2)令和6年度に新たに判明した不適正処理事案
・ 不適正処理件数 113件 (前年度121件) [−8件]
・ 不適正処理量 6.0万トン (前年度5.0万トン) [+1.0万トン](3)令和6年度末における不法投棄等の残存事案
・ 残存件数 2,920件 (前年度2,876件) [+44件]
・ 残存量 999.1万トン (前年度1011.2万トン) [-12.1万トン]
でした。
「不法投棄件数」は前年度よりも6件増えたものの、「不法投棄量」は前年度よりも2.8万トン減少しています。
上記の数値及び環境省の発表文だけを見ると、不法投棄件数と不法投棄量は減少傾向にあるように見えてしまいますが、はたして本当にそうなのでしょうか?
たしかに、環境省の『不法投棄の新規判明件数は、ピーク時の平成10年代前半に比べ、大幅に減少』という評価自体は間違いではありません。
私自身、平成13(2001)年という「不法投棄のピーク時」に大小様々な規模の不法投棄事案に忙殺された経験がありますので、あの当時のように大規模な不法投棄事案は少なくなったと思っています。
しかしながら、昨今、「建設現場に廃棄物を埋立」「他人の土地に廃棄物を放置」「公道が通行不能になる程の廃棄物を一挙に不法投棄」という報道を耳にする機会が増えましたので、体感治安的には、不法投棄件数自体はいまだに多い、あるいは逆に年々増えている気がしています。
今回ご紹介した統計は、『1件あたりの投棄量が10t以上の事案(ただし、特別管理産業廃棄物を含む事案は全事案)を集計対象』としており、ゲリラ的に行われた小規模不法投棄事案は集計の対象に入っていません。
行政当局のみならず、事業者・国民が一致団結して、不法投棄を許さない環境を今後も維持し続ける必要があります。
毎年ほぼ同じ傾向にありますが、令和6年度も「投棄件数」および「投棄量」ともに、「排出事業者」が最多となりました。
不法投棄された産業廃棄物の内訳としては、令和6年度は全体の70.3%が「建設系廃棄物」でした。






