非常災害廃棄物関連の改正法が9月16日より施行―改正された政令とパブコメ回答も解説

非常災害廃棄物関連の改正廃棄物処理法の施行日が、令和8年9月16日と決まりました。

令和8年9月15日付 官報(号外第205号)

新たに政令で規定された内容は下記のとおりです。
改正廃棄物処理法の条文には書かれていなかった詳細事項が、これでようやく確定しました。

2026年9月11日付 環境省 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定等について

改正の概要

(1)非常災害廃棄物の処理に係る委託基準(施行令新第4条及び第4条の3関係)
○ 新法第6条の2第3項において、市町村から非常災害廃棄物の処理の委託を受けた者等は、市町村が一般廃棄物の処理を市町村以外の者に委託する場合の基準等に従う場合に限り、当該非常災害廃棄物の処理を他人に再委託又は再々委託することができることとしており、これらの再委託・再々委託の基準の規定について所要の整備を行います。
〇 新法第6条の2第5項に規定する特別管理一般廃棄物である非常災害廃棄物についても、同様の所要の整備を行います。

(2)新法第9条の3の3第1項の特例の対象施設(施行令新第5条の6の2関係)
○ 新法第9条の3の3第1項において、同項の非常災害に係る一般廃棄物処理施設の設置の届出制度につき、当該施設が生活環境の保全上の支障を及ぼすおそれが少ない一般廃棄物処理施設として政令で定めるものである場合は、生活環境影響調査の結果を記載した書類の添付を省略して届け出ることができることとしています。
〇 当該政令で定める生活環境の保全上の支障が生ずるおそれの少ない一般廃棄物処理施設は、非常災害により損壊した建物から生ずる非常災害廃棄物の処理を行うための施設であって、次の各号に掲げる非常災害廃棄物の種類に応じ、当該各号に定める方法により当該非常災害廃棄物の処理を行うものとします。
一 廃プラスチック類 切断
二 紙くず 破砕
三 繊維くず 破砕又は切断
四 ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず 破砕
五 コンクリートの破片その他これに類する不要物 コンクリートの破片その他これに類する不要物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において行う分別

(3)非常災害廃棄物の最終処分場の設置者の更新期間(施行令新第5条の6の4関係)
○ 新法第9条の3の4に規定する非常災害廃棄物の処分のための最終処分場の設置者を指定する制度について、当該指定の更新期間を5年と定めることとします。

廃棄物処理法施行令の改正内容のポイントをまとめると、次の3点になります。

  1. 非常災害廃棄物の再委託・再々委託に伴う委託基準の整備
  2. 生活環境影響調査書を省略できる一般廃棄物処理施設の明確化
  3. 非常災害廃棄物最終処分場の指定更新期間を5年とすること

上記のうち、今回の改正の肝は、「2.生活環境影響調査書を省略できる一般廃棄物処理施設」を列挙した、「廃棄物処理法施行令第5条の6の2(新設)」です。

以下、改正項目の詳細を解説していきます。

目次

  1. 非常災害廃棄物の再委託・再々委託に伴う委託基準
  2. 改正施行令の肝は新設された「第5条の6の2」
  3. 非常災害廃棄物最終処分場の指定更新期間は5年
  4. パブリックコメントから分かった実務上のポイント
    • Q1.再々委託の場合も、市町村が処分場所と処分方法を指定するのか
    • Q2.区域外処理に関する通知は、誰が、いつ行うのか
    • Q3.再々委託先は一般廃棄物処理計画にどこまで記載する必要があるのか
    • Q4.仮置場での重機又は手作業による粗選別・分別は、一般廃棄物処理施設に該当するのか
    • Q5.移動式破砕機等も設置許可又は届出の対象になるのか
    • Q6.複数の移動式処理設備の処理能力は合算するのか
    • Q7.非常災害廃棄物最終処分場の指定更新期間が5年なのはなぜか
  5. まとめ

1.非常災害廃棄物の再委託・再々委託に伴う委託基準

従前より、市町村から非常災害廃棄物の処理を受託した者は、一定の条件を満たす場合に限り、その処理を他人に再委託できましたが、2026年改正法により、さらに、再委託を受けた者から他人への再々委託も可能となりました(廃棄物処理法第6条の2第3項)。

今回の施行令改正では、これに合わせて、市町村が一般廃棄物処理を委託する際の基準が整備されました(廃棄物処理法施行令第4条)。

特別管理一般廃棄物である非常災害廃棄物についても、同様の整備が行われました(同施行令第4条の3)。

もっとも、非常災害時であれば自由に再委託や再々委託ができるようになったわけではありません。

市町村は委託基準に従って、従来どおり、処分場所・処分方法等を指定しなければなりません。

2.改正施行令の肝は新設された「第5条の6の2」

非常災害に係る一般廃棄物処理施設の設置については、市町村から非常災害廃棄物の処分の委託を受けた者が、都道府県知事へ届け出ることにより、設置許可を受けずに施設を設置できる特例があります(廃棄物処理法第9条の3の3第1項)。

通常、この届出には、生活環境影響調査の結果を記載した書類を添付しなければなりません。

生活環境影響調査とは、施設の設置が周辺地域の大気、水質、騒音、振動などに及ぼす影響を事前に調査するものです。

しかし、2026年改正法により、生活環境の保全上の支障が生ずるおそれが少ないものとして政令で定める施設については、この調査書の添付を省略できるようになりました。

新設された施行令第5条の6の2は、その対象施設を次のとおり定めました。

非常災害廃棄物の種類処理方法
廃プラスチック類切断
紙くず破砕
繊維くず破砕又は切断
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず破砕
コンクリートの破片その他これに類する不要物発生から最終処分終了までの一連の処理行程の中途で行う分別

重要なのは、非常災害廃棄物を処理する施設すべてが対象になるわけではないことです。

第一に、「非常災害により損壊した建物から生ずる非常災害廃棄物」を処理する施設に限定されています。

第二に、非常災害廃棄物の種類と、それを処理する方法が限定されています。

特に注目すべきは、「コンクリートの破片その他これに類する不要物」の「発生から最終処分終了までの一連の処理行程の中途で行う分別」です。

単に「コンクリートの破片等の分別」ではなく、その「発生から最終処分終了までの一連の処理工程の途中で行われる分別」とされています。

仮置場で行われる粗選別や分別が、一般廃棄物処理施設としての「選別施設」に該当するのかという問題と密接に関係する規定です。

3.非常災害廃棄物最終処分場の指定更新期間は5年

2026年改正法では、都道府県知事が、一定の基準を満たす一般廃棄物最終処分場又は産業廃棄物最終処分場の設置者を、その申請に基づき、非常災害廃棄物最終処分場の設置者として指定できる制度が新設されました(廃棄物処理法第9条の3の4第1項)。

今回の施行令改正により、この指定の更新期間は5年とされました(廃棄物処理法施行令第5条の6の4)。

一度指定を受ければ、その指定が永久に続くわけではないということです。

「非常災害廃棄物最終処分場」の指定を維持するためには、5年ごとに更新を受ける必要があります。

4.パブリックコメントから分かった実務上のポイント

今回の施行令改正に先立つパブリックコメント募集には、25件の意見が寄せられました。

以下、実務上特に重要と思われる質疑を取り上げます。

Q1.再々委託の場合も、市町村が処分場所と処分方法を指定するのか

【御意見の概要】

再々委託の場合に、市町村が再々受託者による処分又は再生の場所及び方法まで指定する必要があるか、また、その指定をどのように行うべきかを明確にすべき。

【事務局回答】

廃棄物処理法施行令第4条第7号に基づき、市町村が一般廃棄物の処分又は再生を委託する場合には、市町村において処分又は再生の場所及び方法を指定することとされており、再委託、再々委託の場合においても同様です。もっとも、同号は処分又は再生の場所及び方法をどのような方法で指定すべきかについてまでは定めておらず、必ずしも委託契約書に当該事項をあらかじめ記載する方法に限られるものではないため、その方法については、実情に応じて各自治体で判断されることとなります。

筆者の視点

再々委託が認められても、市町村が処理経路の決定から離脱できるわけではありません。

事務局回答では、処分場所や処分方法の指定は、必ずしも委託契約書にあらかじめ記載する方法に限られないことが示されました。

したがって、再々委託先が決まるたびに変更契約を締結する方法だけではなく、書面や電子メール等によって市町村の指定内容を明確にする方法も考えられます。

Q2.区域外処理に関する通知は、誰が、いつ行うのか

【御意見の概要】

被災市町村外で災害廃棄物処理を行う場合に、受入れを行う市町村に対して受託者の所在地・名称等を通知することとされていることについて、再委託又は再々委託が行われる場合において次の点を明確にしていただきたい。

・通知の主体は、被災市町村、受託者又は再受託者のいずれか。

・通知の対象は、受託者に限られるか、再受託者及び再々受託者を含むか。

・再々委託先が確定した時点で通知を要するとすれば、その時期はいつか。

【事務局回答】

これまでも、被災市町村の区域外で、再委託により災害廃棄物を処理する場合には、被災市町村から当該災害廃棄物を受け入れる市町村に対して、再受託者の所在地・名称等について、通知を行うこととしており、本改正で措置する再々委託も、同様に、被災市町村から行うこととなります。

なお、通知の時期については、処理を開始する前に行う必要があると考えておりますが、具体的な方法については、実情に応じて各自治体が判断することとなります。

筆者の視点

被災市町村の区域外で非常災害廃棄物を処理する場合の通知主体は、受託者や再受託者ではなく、あくまでも被災市町村であるという明確な回答です。

ここでも、非常災害発生時という状況を鑑み、通知の方法は、各自治体が臨機応変に判断して良いとされています。

ただし、通知の方法の選択の自由は被災市町村にありますが、通知をしなくても良いとはされていないことにご注意ください。

Q3.再々委託先は一般廃棄物処理計画にどこまで記載する必要があるのか

【御意見の概要】

非常災害廃棄物処理再受託者が「一般廃棄物処理計画に従い」再々委託を行う要件について、計画に個別事業者名が記載されていない事業者への再々委託の可否と、計画にあらかじめ定めるべき事項の例を明確にすべき。

【事務局回答】

廃棄物処理法第6条の2第3項における「非常災害廃棄物処理再受託者は一般廃棄物処理計画に従い再々委託を行うこと」の考え方については、施行通知で示すことを想定しています。

筆者の視点

再受託者が再々委託を行うためには、一般廃棄物処理計画に従う必要があります(廃棄物処理法第6条の2第3項)。

後日ご紹介しますが、改正施行規則でも、一般廃棄物処理計画の記載事項として、再々委託先となる個別事業者名を明記すべきとはされませんでした。

環境省回答にあるとおり、どのような記載をすべきかは、今後の施行通知で明らかにされる予定です。

Q4.仮置場での重機又は手作業による粗選別・分別は、一般廃棄物処理施設に該当するのか

【御意見の概要】

仮置場で重機又は手作業により行う粗選別・分別が一般廃棄物処理施設の「選別」に該当するかについて、固定式設備や機械的工程の有無等を含む判断基準を明確にすべき。

【事務局回答】

仮置場における重機又は手作業による粗選別・分別は、廃棄物の処理の一環として行われるものであると考えられますが、そのことのみをもって直ちに一般廃棄物処理施設としての選別施設に該当するものではなく、施設該当性については設備の構造、処理能力、処理方式等を踏まえ個別に判断されます。

筆者の視点

環境省回答によると、仮置場で重機又は手作業による粗選別・分別を行うだけで、直ちに一般廃棄物処理施設に該当するわけではなく、設備の構造、処理能力、処理方式等を踏まえて個別に判断されます。

もっとも、一般廃棄物処理施設に該当すると判断された場合でも、施行令第5条の6の2第5号に該当する選別施設であれば、生活環境影響調査書の添付は不要です。

したがって、生活環境影響調査書の要否という点に限れば、施設該当性を細かく判断する実益は小さくなりました。

一方、一般廃棄物処理施設に該当すれば、生活環境影響調査書を添付する必要はなくても、設置届出その他の施設規制は受けることになります。そのため、施設該当性の判断自体が不要になったわけではありません。

Q5.移動式破砕機等も設置許可または届出の対象になるのか

【御意見の概要】

仮置場に移動式の破砕機、スクリーン、トロンメル等を設置する場合について、一般廃棄物処理施設の設置届出の要否、届出主体、設備の移設・撤去時における届出又は変更手続の要否を明確にすべき。

【事務局回答】

移動式であっても、一般廃棄物処理施設(処理5t/日以上を超)に該当する場合は、設置許可(又は届出)の対象となると考えます。

なお、廃棄物処理法第9条の3の3に基づく届出は、市町村から非常災害により生じた廃棄物の処分の委託を受けた者が、当該処分を行うための一般廃棄物処理施設を設置する場合の特例を定めたものであることから、届出主体は受託者となります。また、仮置場の開設、設備の移設又は撤去に係る届出等については、以下のとおりです。

・仮置場の開設…設置届出や変更届出は不要

・処理施設の移設又は撤去…一般廃棄物処理施設の変更許可の要否は個々の施設の具体的な許可の内容に応じて、管轄の都道府県等が判断するものになります。

筆者の視点

「仮置場の開設」は届出の対象ではないので、迅速に行うことが可能

しかし、仮置場に設置した処理施設の移設や撤去については、個々の施設の具体的な許可内容に応じて、変更許可の要否が判断される

という整理になります。

Q6.複数の移動式処理設備の処理能力は合算するのか

【御意見の概要】

仮置場に複数の移動式処理設備を設置する場合、施行令第5条第1項の1日当たり処理能力を、設備ごと、処理工程ごと又は仮置場全体のいずれの単位で算定するかを明確にすべき。

【事務局回答】

処理施設が複数設置される場合に、その処理能力を算定するにあたっては、処理施設の一体性、処理する廃棄物の同一性、処理工程の連続性を確認した上で、合算するかしないかを判断するものと考えます。

筆者の視点

環境省回答は、非常災害廃棄物特有の考え方ではなく、産業廃棄物処理施設の能力算定上の考え方を述べたオーソドックスな一般原則です。

Q7.非常災害廃棄物最終処分場の指定更新期間が5年なのはなぜか

【御意見の概要】

指定更新期間の延長又は恒久化を検討すべき。

【事務局回答】

廃棄物最終処分場については、定期検査が「5年3月」の期間内に行われるところ、廃棄物処理法第9条の3の4第5項及び第6項において、同条第1項の規定による指定を受けた非常災害廃棄物の最終処分場の設置者については、当該定期検査が免除されます。これは、当該指定に当たってその基準である「環境省令で定める技術上の基準に適合するものであること」を確認されることをもって、当該定期検査で確認される事項と同等のものが担保できるためです。

このため、指定の更新期間が定期検査の期間を大幅に超えるものであればその趣旨が失われてしまうことから、非常災害廃棄物最終処分場の設置者の指定に係る更新期間を、定期検査の期間を上回らない5年とするのが適切と考えています。

筆者の視点

環境省の言いたいことは理解できますが、「その程度のメリットしかないのであれば、あえて非常災害廃棄物最終処分場としての指定を受ける意味がないのでは?」という疑問が残ります。

災害がいつ発生するか分からない一方で、一度指定を受ければ、非常災害廃棄物の処分の委託を求められた際に、正当な理由がない限り、その委託を受けなければなりません(廃棄物処理法第9条の3の4第4項)。

埋立容量を自社の判断だけで温存できなくなることは、最終処分業者にとって無視できない経営上のリスクです。

民間の最終処分場が5年ごとの更新を続けるだけのインセンティブを、どうやって確保するのかが今後の課題となります。

5.まとめ

今回の施行令改正では、非常災害廃棄物の再委託・再々委託に伴う委託基準、生活環境影響調査書を省略できる処理施設、非常災害廃棄物最終処分場の指定更新期間が定められました。

中でも重要なのは、新設された施行令第5条の6の2です。

非常災害時に設置される処理施設のうち、生活環境影響調査書を省略できる範囲が具体化されたからです。

その一方で、仮置場で行われる粗選別・分別がどこから一般廃棄物処理施設に該当するのかについては、なお個別判断とされています。

再々委託についても、一般廃棄物処理計画への具体的な記載方法など、施行通知で示される予定の事項が残っています。

今後は、施行通知や災害廃棄物対策指針において、自治体と処理事業者が迷わず動けるような具体的な判断基準を示していただく必要があります。

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