2025年10月2日付 埼玉テレビ 「所沢市 県内初 屋根付き最終処分場 公開」
所沢市にできた県内初の屋根付き最終処分場が今月末から、搬入が始まるのを前に、報道陣に公開されました。
所沢市南永井に新しく作られた最終処分場「やなせみどりの丘」は、およそ13万立方メートルを埋め立てることが出来ます。
屋根付きのため、雨風の影響を受けないことに加え、埋立物の飛散や臭いの拡散、重機の作業音などが外に漏れるのを防ぎます。
報道の中で「(埼玉)県内初」とあるとおり、最近、屋根付きの一般廃棄物最終処分場の開設が増えています。
ただし、屋根付き最終処分場の歴史は意外と古く、平成10(1998)年に第1号の施設が完成したそうです。
所沢市が公開している「(仮称)第2一般廃棄物最終処分場基本設計概要版」で、今回公開された最終処分場の概要は下記のとおりです。
屋根と壁面で雨水から埋立地がほぼ完全にシャットアウトされる代わりに、自動的に散水をする設備が設置されています。
屋根付きではない、一般的な管理型最終処分場は次のとおりです。
※図は「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会テキスト」より転載
屋根付きではない管理型最終処分場の場合は、大雨の発生等により、一時的に浸透水が急激に増えることがあり、浸出水処理に支障が生じる場合があります。
屋根付き最終処分場の場合は、雨水の浸透をカットした分、散水後に廃棄物を通過した「浸出水」の処理を安定して行えることが、最大の利点と言えましょう。
所沢市の処分場の場合は、さらに壁で敷地を囲うため、処分場に付きものの「臭気」の封じ込めも期待できます。
このように、屋根付き最終処分場は、オープン型最終処分場よりも良いことづくめであることは間違いありませんが、最大の懸念は、「設置費」が一般的な埋立処分場よりも高額になるのでは?という点でした。
しかし、所沢市の場合は、
埋立面積「13,700平方メートル」に対し、概算工事費が「約66億円」と、他の市町村が設置するオープン型最終処分場の工事費と比較しても、それほど高額なわけではありません。
※一般論としては、「屋根の設置」はコスト増要因ですが、「浸出水処理設備」をオープン型よりも小型化できるため、設備全体としてはコスト減になるようです。
屋根付き最終処分場であるため、屋根部分に全面的に太陽光発電パネルを設置できますので、維持管理コストをオープン型より抑えることができそうです。
民間企業の場合は、埋立面積を最大限広く取る必要がありますので、埋立地全体に屋根を設置するというのはコスト的に厳しいものがありますが、市町村の場合は、そこまで広く埋立面積を確保する必要がないので、屋根付き最終処分場のメリットを発揮しやすいとも言えます。