建設廃棄物を事業場外保管する際の届出

2010年の廃棄物処理法改正から15年が経ち、2010年当時の状況を知る廃棄物管理担当者の大部分が異動や退職をしたものと思います。

2010年改正は、建設廃棄物に関する改正が非常に多いため、建設関連企業にとっては非常に重要な内容ですが、先述したとおり、廃棄物管理担当者が世代交代した結果、改正当時よりも実務上の理解がおざなりになったケースがよく見受けられます。

そこで今回は、建設廃棄物に関する2010年改正の中でもマイナーな部類に入る内容でありながら、労働生産性向上のために各所で検討課題に入ると思われる「建設廃棄物の事業場外保管」の解説をいたします。

「建設廃棄物の事業場外保管」とは?

まず、「建設廃棄物が発生する事業場」とは、「建設工事の施工現場」を指します。

そのため、「建設廃棄物の事業場外保管」は、「建設工事現場以外の場所での保管」を意味し、具体的には、施工現場から、「元請業者の社屋や事業場」や「元請業者が借りた敷地」に建設廃棄物を搬入し、その場で一定期間建設廃棄物を保管する行為を指します。

排出事業者が発生させた産業廃棄物を、排出事業者自身が運搬・保管する場合は、「業として」産業廃棄物を扱うわけではありませんので、産業廃棄物処理業許可が不要であることは皆様が御存知のとおりです。

しかしながら、不法投棄された廃棄物の大部分を建設廃棄物が占める現状は現在に至るまで延々と変わらず、最初は違法ではなかった保管が、保管量が増えるにつれ、そのまま放置された結果、各地で解決困難な不適正処理事案に発展することがよくあります。

そのため、2010年改正では、建設業者に、施工現場外で大量の建設廃棄物の保管を行う場合には、下記の届出を行うことを義務づけました。

「建設廃棄物の事業場外保管」の届出

廃棄物処理法第12条 
1~2 (略)
3 事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
4~13 (略)

廃棄物処理法施行規則

第8条の2 法第12条第3項前段の環境省令で定める産業廃棄物は、建設工事(法第21条の3第1項に規定する建設工事をいう。以下同じ。)に伴い生ずる産業廃棄物とする。

第8条の2の2 法第12条第3項前段の環境省令で定める保管は、当該保管の用に供される場所の面積が300平方メートル以上である場所において行われる保管であつて、次の各号のいずれにも該当しないものとする。
一 法第14条第1項又は第6項の許可に係る事業の用に供される施設(保管の場所を含む。)において行われる保管
二 法第15条第1項の許可に係る産業廃棄物処理施設において行われる保管
三 法第12条の7第1項の認定を受けた者が行う当該認定に係る産業廃棄物の保管
四 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法第8条第1項(同法第15条において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による届出に係るポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管

第8条の2の3 法第12条第3項前段の環境省令で定める場合は、非常災害のために必要な応急措置として行う場合とする。

  • 建設廃棄物を
  • 施工現場以外の場所で保管
  • 保管面積が300平方メートル以上

に該当する場合は、あらかじめ、都道府県知事にその旨を届出を行う必要がある、と定められています。

「建設廃棄物の保管面積が300平方メートル以上」であるため、フレコンバッグを数袋保管する程度なら、届出の対象にはなりませんが、「広大な倉庫を借り、関東一円で発生した建設廃棄物を毎日そこに搬入し、倉庫が満杯になるまで保管を続ける」という場合は、「300平方メートル以上」という保管面積の要件に該当するかもしれません。

ここまでの話は「廃棄物処理法」に関する届出で、実際には、地方自治体が独自に制定した条例で、廃棄物処理法以上に厳しい届出要件を課している場合があります。

具体的には、廃棄物処理法では「保管面積が300平方メートル以上」だけが届出対象ですが、独自条例では「保管面積が200平方メートル以上」とされている場合があります。

また、大阪市のように、

  • 「建設業」だけではなく、「あらゆる事業活動を営む者」を届出対象事業者とし、
  • 「保管面積300平方メートル以上」ではなく、「敷地面積が200平方メートル以上」がある場所での事業場外保管を届出対象

としている場合もありますので、「事業場外保管」を行う場合は、所轄自治体が制定した独自条例の規制についても把握しておく必要があります。

下請が保管場所に持ち込む場合の注意点

「300平方メートル以上の事業場外保管」となると、元請単独というよりは、下請に建設廃棄物を持ち込んでもらう方が多いと思います。

この場合は、廃棄物処理法第21条の3第3項の特例措置に該当しない建設工事については、下請には産業廃棄物収集運搬業の許可が必要であり、元請は下請と収集運搬委託契約を締結し、産業廃棄物管理票を交付する必要があります。

「廃棄物処理法第21条の3第3項の特例措置」については、機会を改めて記事にする予定です。

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